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・外部空間の設計
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『外部空間の設計』
芦原義信著者
建築や空間理解に多くの示唆
渇z智アトリエ 代表 越智 史郎
新聞のコラムに執筆した小論「広場は幻想か」の中で、自分の幼少時代にはまだ息づいていた共同体の生活と広場体験を現在の沖縄に重ねながら現代における広場の意義を論じた。
こうした広場に対する私のこだわりに影響を与えたいくつかの読書体験がある。
先ずはカミロジッテ著『広場の造形』である。
ジッテは1843年ウィーンに生まれ、1905年に没した建築家であり画家でもあった。
原著の「芸術と実用の偏重」により失われつつある都市の美しさを広場の造形原理として再発見しようとしたのである。
その中で当時の都市化の現状を次のように批判している。
「現代の都市構成の方法では、建物のたっている部分と開いている部分は逆転している。
かつて空いている部分と空いている空間(道と広場)は、しかるべき効果を与えるために形をよく整えた閉ざされた構成をもっていた。
これに対して今日では建物の敷地の方が閉じた規則的な形をして切り取られ、その残りが道として広場になるわけである。」
この言葉は19世紀後半に発せられたのだが、現代人の都市計画の現状にも十分当てはまる。
つぎにあげたいのは、大谷幸夫(沖縄コンベンションセンターの設計者)の諸論文である。
それらはもう手元にはないのだが、その中で「Aと非A」という空間概念を提示し、今後の都市及び建築の有り方を主張されて
いた。
Aは建築であり非Aはそれが生み出す外部空間(オープンスペース)である。
私達はAである建築家には関心を向けるが、それによって切り取られる外部空間(非A)の重要性については見落としがちである。
彼は非Aを今後自覚的に取り組むべき課題として提起したので
ある。
それを読んだのが沖縄に移住してまだ間もない頃で、沖縄の外部空間の持つ豊かなイメージと結びついて深く印象づけられた。
さて、最後に今回おすすめしたい一冊の本として取り上げた芦原義信著『外部空間の設計』である。
この著は先述したジッテや大谷の著と相通じるものが有る。
出版されたのがもう20年以上も前であるが、今読み返して見ても十分新しくそのテーマは未だ解決されていない。
彼はN(ネガティブ)スペース、P(ポジティブ)スペース、その中間としてのPNスペースという三つの空間概念(これは大谷のA、非Aの概念に近い)を中心に、ジッテが対象にしたヨーロッパと日本の都市の歴史を比較しながら分析的、実証的に論じていく。
しかも著者の実作品も例証に上げながらいたって方法的、実証的である。
その叙述はおおば日呂志のイラストや実作品を中心とする豊富な写真により、平易でわかりやすく、そのことも私がこの一冊を進める理由のひとつである(一般的に建築家の論文は概念的で難解といわれ、その事が建築文化を一般から遠ざけてきた要因の一つだと思えるのだが)。
そうした意味でこの著は一般(建築設計外)の読者に、建築や空間の専門領域を理解して戴くための格好の書とも言える。
とは言え「+(プラス)しながらつくる空間と−(マイナス)しながらつくる空間」「図と地」「逆空間」の論など私達建築設計者にとっても多くの示唆に富んでいる。
ともあれ、21世紀に至る沖縄のまちづくり、地域づくりを考える場合、広く一般の方々にも一読して戴きたい一冊である。
最後にあと書きの中から要約として著者の言葉を引用したい。
「地中海建築の街並みの面白さや変化は、街路自体が、場合に
よっては『図』となりうる可能性に近いのではないかと思わ
れる。
それは、ちょうど、イタリアの街の地図を黒白逆に焼いても
一見不都合でないこととあい通じる。
私がこの本の中で述べたように、外部空間においてはこの
『逆空間』にまで設計の意図を満ちさせて、建築が占有する
空間について十分に配慮するのはもちろんであるが、その建築
が占有しない『逆空間』にまで配慮がなされたとき、または
敷地全体が一軒の建築として考えられて設計されたとき、
ここに外部空間の設計が始まる。」
越智アトリエ代表取締役 越智 史郎
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